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鍼灸学科 東洋医療コース 東洋の真髄と西洋の科学性を修めた、患者さんを笑顔にする「臨床に強い鍼灸師」を目指そう。

2011/09/02(金)

心に残る症例

吉備 登


 中国より伝来した鍼灸治療は2000年以上の医学経験にもとづいた治療方法です。現在、医学は日進月歩していますが、未だに完全なものにはなっておらず、それを補完する役割として鍼灸治療は活躍しています。
 そこで今回、現代医学を補完する医療としての鍼灸治療について私の経験を紹介したいと思います。
 その患者さんは無職の67歳の男性(身長165㎝、体重62㎏)で、前立腺癌で骨盤内臓器の開腹手術を行い、カテーテルを入れていました。手術後3週間で退院したそうですが、その後、頻尿と尿失禁が始まりました。病院の検査では特に異常はなく、膀胱にも器質的障害はないと診断され、約10ヵ月間薬物治療(塩酸エフェドリン)を受けましたが症状はよくなりません。そこで、鍼灸治療を受診されることになりました。初診時の患者さんの症状は、昼間は1時間おきぐらいに10回以上トイレに行く。ゴルフや畑仕事で少し運動をすると尿がもれてしまうので尿漏れ防止パットを使用している。朝はトイレに行くまでに尿がもれてしまうなどでした。
 鍼灸治療は、灸を用いた全身調整の他、頭部への鍼治療、下肢への低周波鍼通電、下腹部への隔物灸、腰部への灸頭鍼などを行いました。約2ヵ月後、週に2回計15回の治療で、朝はトイレに行くまでに尿がもれてしまう症状はトイレまで我慢できるようになり、昼間に尿が漏れる量は減り、尿漏れの状態を示す国際尿失禁スコアはほぼ半分程度(19点→10点)になりました。 最終的には30回の鍼灸治療で、完全に尿失禁が治った訳ではありませんが、国際尿失禁スコア9点となり、尿が漏れる量は少しずつ少なくなり、何かに熱中していると長時間我慢できるようになりました。
 頻尿や尿失禁は些細なことに思われるかもしれませんが、患者さんは日常生活で気まずい思いをしてしまい、外出や旅行にも行けなくなる事につながります。そのためにも、このような症状を改善させることは非常に重要なことなのです。
 このように現代医学で十分な効果が得られない症状に対し、鍼灸治療が効果を示すケースは数多く存在します。みなさん知っていましたか!


吉備先生の図.jpg

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