
2009/07/28(火)
鍼灸師の活躍する現場―開業―
関西医療大学 保健医療学部 鍼灸学科教授の川本 正純です。
昨今では、免許取得後の進路は全ての免許取得者が開業に踏み切るのではなく、様々な活躍の場の選択肢が増えている状況ですが、この状況に至るまでの歴史は、三療(あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師)業界の多数の先輩による闘争といっても過言ではない努力の賜と言えます。
戦後GHQや厚生労働省との様々な交渉から三療の独立開業の権利を確保した結果なのです。もうこの歴史を詳らかに口頭で伝えていただける先生方は、数少なくなりましたが鍼灸手技療法の世界が今日の隆盛に至り、今後も発展していくことを望んでおられると考えます。
さて私達の学生時代(専門学校の学生)は、第一に卒業後の鍼灸院の開業を念頭に置いて学生生活の日々を過ごしていました。また開業に際しては、「石の上にも三年」という諺があるように「三年間患者が、一人も来なくても生活が出来るだけの準備をして開業しなさい。」「○○鍼灸院がここにあるのだと周知してもらう為にも早く開業に踏み切った方がよい。」などの先輩から諌言を頂いておりました。
専門学校という特殊性から職に就きながら退職後の仕事にと考えて、お越しになっている方もあり又、家業を継ぐためにと考えておられる学生もいました。
現在大学に在籍している学生諸君の殆どは、多数の大学進学の一選択肢として入学して来られ御父兄もまたこの業界に携わっておられる方はほんのわずかではないかと考えます。そういった意味から、卒後直後は言うに及ばず、数年後も開業という二文字は、頭に浮かばないかもしれませんが、冒頭記しましたように、鍼灸師に与えられた権利である開業は、是非考えても良いのではと思います。
例えば、実家はこの業界とは無縁で自分が開業する為のバックボーンは一人で構築しなければならない人のケースでは、卒業後一旦は鍼灸師として就職され、土日祭日は知り合いの方の施術を行い開業資金の確保と開業後の患者さん確保を同時にされ数年後開業された例もあります。また社会人入学で本学に入学され卒業後直ぐに開業し、開業当初は、休診日に本学の研修鍼灸師として研修されながら徐々に患者さんを増やしていかれた例もあります。
さらに、社会人入学の方ですが、女性で看護師でもあり卒業後は直ぐに開業され、東洋医学に造詣のある婦人科の先生とのコラボレーションでレディース鍼灸をされているかたの例もあります。この先生方が異口同音に「患者さんに教えていただく事が多くあり、毎日牛歩のようでありますが、スキルアップしていると思います。」といっておられます。そして少しでも地域医療に貢献できればと「人のために役立つ奉仕の精神」にマッチした活躍をされております。
最後に、医療の一端を担う医療人として人柄がまず第一だと考えます。そして知識とさらに磨かれた技術(治療センス)が不可欠だと考えますが皆さんは如何でしょうか。

