
2011/11/25(金)
運動器疾患理学療法の意義
みなさん、こんにちは。理学療法学科の谷埜予士次です。
さて、今回は「運動器疾患理学療法の意義」という難しいお題をいただきました。受験生のみなさんに、できるだけわかりやすく私見を含めて説明させていただきたいと思います。
まず、運動器とは何か、わかりますか?運動器とは、我々の身体運動に関わる骨、筋肉、関節や神経などを指します。ですから、運動器疾患とは、骨、筋腱、関節(靭帯を含む)や神経などが損傷して起こる疾患ということになります。例えば、骨折、靭帯損傷などが想像しやすいでしょうか。骨折を例に運動器疾患に対する理学療法の魅力を述べます。
このブログを読んでくださっている方で骨折した人はいますか?骨は折れてもまたひっつきますよね(骨癒合)。しかし、適切な治療や理学療法が施されないと後遺症が残ります。まず、医師が骨折に対して治療をしてくれます。骨折して骨がずれていると、もとの状態に戻します。これを整復といいます。正しく整復して、その後は骨癒合するまで固定をします。固定の仕方にも色々あります。ギプスを巻いた固定だけでなく、手術によってプレートを用いて直接骨を固定する場合もあります。固定された後、骨がある程度癒合するまでは、その部分にまだ強い負荷をかけることができませんし、十分に動かすことや体重をかけることもできません。したがって、固定によって関節が硬くなって、動かせる範囲が制限されたり(関節拘縮)、筋力が低下したりします。その間は骨折部分以外の機能をできるだけ低下させないように理学療法を行います。そして、骨癒合が進むにつれ徐々に骨折部に関係する関節の可動域練習や筋力強化練習を徐々に行い、患者さんが再び元の動作をすることができるようにして生活に戻れるように支援します。
このように記載すると、みなさんがイメージしているような理学療法ですかね?受身的なイメージでしょうか?実は運動器疾患に対する理学療法にはもっと魅力があります。それは 1. 患部の修復を促すことができる、2. 予防ができる、ということが魅力だと私は思います。
- 患部の修復を促すことができる、ということについて説明します。先にも述べましたが、骨折しても骨癒合しますが、実は骨癒合のためには適切な負荷が必要になります。全く負荷をかけずに患部を安静にしているより、適切な負荷を適切な時期にかけることによって患部の修復を促すことができます。これは靭帯や筋肉を損傷したときも同じです。適切な負荷をかけるには、骨はどのように治癒していくか?どのくらいの時期にはどのようになっているのか?ということを知らなければいけません。これは病理学という学問で習います。また、骨折後にどのような固定をしているのか?骨にはどのような力が加わって折れたのか?など整形外科の知識も有していることで可能になります。このあたりは医師と十分にディスカッションして理学療法を進めていくことに魅力を感じます。
- 予防ができる、ということについて説明します。骨折の原因は色々あると思います。転倒、捻挫や走りすぎて疲労骨折というのもあるでしょう。転倒にしても、捻挫にしても、なぜ、転倒したのか?捻挫をしたのか?その原因を突き止めて、原因を改善させるような理学療法を行うことによって再発を予防できます。疲労骨折も単なる練習量が多いということだけではなく、負荷が繰り返してある部分に集中して加わるから生じます。つまり、患部に集中して負荷が加わるという動き方に問題があります。問題となる動作に対して理学療法を行って改善しておけば疲労骨折は未然に防ぐことも可能になります。このように運動器疾患は理学療法で予防できるという点も魅力的だと思っています。

