
2012/01/27(金)
臨床現場で実感した人の"気力"
みなさんこんにちは。今回は、私が臨床現場において実感した、人の "気力"についてお話ししたいと思います。
一昨年の2010年秋頃から2011年夏辺りまで不妊症の方を治療していました。病院で不妊治療を受けていたのですが、鍼灸治療も良いということを聞き、併用したいとのことでした。問診、舌診、脈診、腹診による総合的な診断の結果、身体の冷えが顕著であったことから、冷えを改善し元気な母体作りにむけて体調を整えることを目的に鍼灸治療を行いました。ご自宅ではご主人の協力のもと毎日お灸を続け、努力の効があり見事妊娠されました。現代においては結婚年齢が高くなってきていることや、様々な社会的要因により不妊で悩んでいる方も多く、最近はこうした症状に鍼灸治療が奏効した例が専門の雑誌に紹介されています。
また、こんな方もいらっしゃいます。癌を患って手術を受けたのですが、癌転移のため、数日後に再度手術を受けるという方です。その時は本人の希望もあり、癌による疼痛の緩和を主とした鍼灸治療を行いました。穏やかな印象を与える方でしたが、半年後に自分の仕事である「舞台に立つ」という目標を設定し、その実現のために頑張っていました。聞くところによると、余命宣告から何年か経っているとのことでした。
以前読んだNHKの人間講座・生きる意味で、『夜と霧』を書いたフランクルのことが紹介されていました。『夜と霧』は第2次世界大戦中のドイツのユダヤ人強制収容所、アウシュビッツでの出来事が書かれています。作者のフランクルはユダヤ人の精神科医であり、アウシュビッツ生存者の一人です。人間講座ではアウシュビッツで生き残った人の多くは、自分を待っている"何か"がいたとのことでした。その"何か"は人でも物でも事象でも何でもよいのですが、つまりその"何か"がその人の生きる"気力"になった、とのことです。
鍼灸治療は患者さんと対話しながら時間をかけてその方に則した施術を行います。私もこれまで、様々な方の治療を担当し、その都度、様々な事を学んでいます。今回は、人の"気力"の素晴らしさを心底実感した二人の患者さんの症例を紹介しました。なお、写真は私自身が本学から見た空を撮影したもので、"気"をイメージしました。
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